東京地方裁判所 昭和41年(ワ)1047号 判決
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【判決理由】本件特約の内容自体は原告の実際の賃借期間の長短に比例して敷金返還額を定めたものでもなく、その点必らずしも合理性があるとはいえないが、そのことのみをもつて右特約が公序良俗に反するということはできず、また、賃貸人である亡常美がその経済的優位を利用し、賃借人である原告の窮迫に乗じて右特約を締結させた等その特約が公序良俗に反するものとうかがわせるような事情は本件における全証拠をもつてしてもこれを認めることができない。かえつて<証拠>によると、本件特約は、昭和三五年四月一日亡常美が原告に従来賃貸していた本件建物二階部分の外にあらたに階下部分をも賃貸した際にされた同趣旨の特約をそのまま受けついだもので、もともとその特約は、亡常美が当時本件建物階下部分を洋裁店として使用していた娘の被告常美にその営業をやめさせて同部分を原告に賃貸することになつた関係上賃料収入の確保のため原告ができるだけ長期間賃借してくれることを希望し賃貸期間の中途で明渡されることをおそれ、その事情を述べて右特約をすることを原告に申入れ、原告もその事情を了承してこれに応じたものであることが認められるから、本件特約をもつて公序良俗に反するものとは到底いうことができない。(森川憲明)